U.吉井川上流域の河川と渓流畔林調査(2010.8)


6.雑木林の山

雑木林は広葉樹・針葉樹・常緑樹・落葉樹とツル類など、多種多様の高木・低木が生育し、四季それぞれの花が咲き、変化に富んだ美しい自然を織りなす。また、これらの植物にはそれぞれを好む多くの虫や蝶が育ち、餌を求めて小鳥や小動物も集まり、豊かな生物環境を形成する。
 一方、樹木の下の地表は苔・シダ・笹・草・潅木などの表層植物が生え、これらの植物とその根で覆われ、これらの被覆層によって降雨時の保水能力が高まり、表土の流出は少なくなる。また、落葉や腐葉土は菌類や微生物によって分解されて植物の肥料や虫の食料となり、多様な生命を育んでいる。
 雑木林の谷は、苔むした岩と水際まで茂る草の間を滲みだした湧水が集まって清流を形成し、沢蟹や虫の生息地となり、これを餌とする魚や他の生き物も集まってくる。
 雑木林は斜面崩壊や土砂の流出が少なく保水能力も高いので、土砂災害の防止と洪水防止効果も大きい。一方乾期には水源涵養能力が大きいので渇水の軽減効果も大きい。
 近年は局地的な集中豪雨が多くなり、それに伴う災害も多くなったが、その災害発生の一端は人工林の増えたことによるもののように思考される。



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