T.旭川上流域の河川と渓流畔林調査(2009.5)


9.植林地の災害

 平成16年10月の台風23号は最大風速51.8m/sを記録し、岡山県の県北地域の植林地に甚大な倒木被害をもたらした。この杉・檜の倒木はその大部分が根こそぎ倒木しており、根の有った跡に直系2m前後の穴を開けていた。その後、平成18年7月19日のややまとまった降雨により、風倒木地で多くの斜面崩壊が発生した。この災害により道路が寸断されて湯原温泉街や多くの集落が交通を遮断されて長期間不自由な生活を強いられた。またその復旧工事には膨大な経費が投じられて、道路や民家に面した崩壊跡は擁壁やコンクリート法枠工で被覆され、自然斜面の面影は完全に失われている。一方、自然状態の雑木林に斜面崩壊を起こしたところは無く、植林地が自然災害に対していかに弱いかを明白に示している。
 補助事業で自然林を伐採して植林を行い、自然の風雨で斜面崩壊を起し、その対策事業として擁壁や法枠工を行って自然を失う。これからも同様の災害が発生すると考えられるが、植林をいかに管理するかしっかりと考える必要が有ろう。


災害状況とその復旧

災害状況 2009年5月 復旧状況 2012年3月
28.旭川下流域(落合〜湯原ダム) 写真番号14
 崩壊発生源は植林の風倒木地。下は急斜面で雑木林を倒している。
崩壊跡を前面コンクリート法枠工で復旧している。

28.旭川下流域(落合〜湯原ダム) 写真番号13
 風倒木地の崩壊。被覆土砂がほとんど崩落し、基盤岩が露岩している。R313号は長期間通行止めとなった。
崩壊跡をコンクリート擁壁、コンクリート吹き付け、コンクリート法枠+植生で復旧している。

28.旭川下流域(落合〜湯原ダム) 写真番号7
 崩壊跡地が再度崩壊したように思われる。
コンクリート法枠+植生で復旧している。

目木川沿い 写真番号3
 久世〜鏡野線不通箇所(目木字上口下)。7/19の強風で風倒木斜面が崩壊し、主要地方道が2週間以上通行止めとなる。崩壊は倒木部にのみ発生している。
コンクリート法枠+植生で復旧している。

目木川沿い 写真番号8
 影築地区。風倒木が表層崩壊している。
災害放置箇所 雑木の小木がはえ、自然に返りつつある。

目木川沿い 写真番号11
 矢古地区。広域の斜面崩壊を起こしている。風倒木以外に崩壊箇所は無い。
崩壊跡の放置斜面 雑木の小木や草と松が生え自然に返りつつある。

目木川沿い 写真番号13
 余野上字黒地。表層崩壊は民家に被災している。
コンクリート法枠+植生で復旧している。

22.余川下流域(大上より下流) 写真番号2
 崩壊跡 7/19災害跡
コンクリート法枠+植生で復旧している。

25.山生川 写真番号2
 7/19風倒木地の崩壊
コンクリート擁壁+法面柵で復旧している。

25.山生川 写真番号8
 風倒木地の崩壊。多量の土砂と倒木が川へ押し出し、河川環境劣化の原因となっている。
広範囲をコンクリート擁壁、コンクリート法枠+植生としている。

25.山生川 写真番号11
 民家と集会所が被災している。
コンクリート法枠+植生としている。

25.山生川 写真番号17
 風倒木地に多数の崩壊が発生している。
風倒木、崩壊跡 手前の斜面にはクヌギを植えている。他は放置しているが、雑木が生えている。

植林地であったところが崩壊し、コンクリート法枠+植生で復旧している。自然の植生は無くなり人口斜面と化している。
下から法枠コンクリート擁壁、法枠アンカー工、法枠工、法枠植生工。植林地の表層崩壊に対して大規模な対策が行なわれている。
風倒木後の放置林 常緑樹、落葉樹などの幼木が生えてきている。20年も経てば立派な林になるであろう。


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