U.吉井川上流域の河川と渓流畔林調査(2010.8)


7.自然状態の川

吉井川水系の奥津湖より上流域には、人工護岸のない自然状態を保った川が多く残っている。その流れは変化に富み、瀬・瀞・淵を有し、色々の魚の住処を備えた豊かな清流である。川は自然斜面なので、人が川底へ下りたり上がったりするのは比較的自由に出来る。
 私はこのような自然の残った川を見て正直“ホッ”としたものである。私が子供の頃(昭和30年前後)遊んだ川を見たからである。子供の頃は毎日川へ行き釣りをしたり、網ですくったり、投網を投げたり、網を張って魚を追い込んで捕ったり、石の下や岩穴の中の魚を手掴かみしだり、ヤスで突き、針で引っ掛けたり、束ねたわらを持って川底を押してカジカを追い込んで取ったり、水溜まりに草の汁を流して魚を浮かせて捕ったり、竹篭やガラスビンに餌を入れて魚を誘きいれて捕ったり、大人も子供も魚捕りを楽しんだものである。
 正に子供の頃と同じイメージの川が残っており、今でも魚釣りの人をちょくちょく見かける。本地域は昔からの魚が棲んでいるとのことであり、現在では貴重な川であるといえる。しかし昔に比べて魚の数は大きく減少し、今ではごく少なくなったとのことである。
 清水が流れ自然が豊かに残っていそうに見えるが、水質が変化し餌となる苔や藻・虫などが減ったためであろう。その一因は植林による影響が考えられるが、川を昔の状態に戻すには政治・行政の力と財政、地域住民の協力および長い時間が必要であろう。



ホームページ作成素材 Cool Liberty